時事通信の取材によると、短編動画プラットフォーム「TikTok(ティックトック)」運営会社の日本法人が、影響力のある「インフルエンサー」に報酬を支払い、特定の動画をTwitter上で投稿させていたことがわかりました。

これは、広告であることを伏せて宣伝する「ステルスマーケティング」、いわゆる「ステマ」に該当する可能性があります。

なおTikTokは1月25日、本件について正式に謝罪しています。

インフルエンサーに報酬を支払い、投稿を依頼していた

「TikTok(ティックトック)」は、世界で10億人を超える利用者を抱える短編動画プラットフォームです。

音楽や文字を加えた動画を気軽に投稿できるスマートフォンアプリとして、日本においても若い世代を中心に人気を集めています。

今回問題となったのは、TikTokの運営会社であり中国IT大手の「字節跳動(バイトダンス)」の日本法人がインターネット上で影響力のある「インフルエンサー」に報酬を支払い、TikTokに投稿された動画をTwitter上で拡散するよう依頼していたという点です。

時事通信の取材では、同法人は「コンテンツを広げる施策の一環で、広告表記が必要という認識はなかった。結果としてユーザーに誤認を与える可能性は捨てきれず、再発防止に取り組む」と説明しています。

なお、施策は昨年末に終えたこと、また開始時期や報酬額など「契約の詳細は話せない」としていることも、あわせて報じられています。

「ステルスマーケティング」に当たるおそれ

ステルスマーケティングとは、広告主から報酬を受け取りながら関係性を示さず、口コミのように商品を勧める行為のことを指します。こうした行為は、消費者に誤解を与えかねません。

また、「景品表示法」に違反するおそれもあり、過去にはバストアップサプリ「ジュエルアップ」と「モテアンジュ」が、広告の内容に「根拠がない」として消費者庁から再発防止を求める措置命令を受けています。

消費者の購買行動に対する口コミの影響力が増す中で、プラットフォーム側や企業側には節度ある運用が求められています。

TikTokが本件について正式謝罪

なおTikTokは1月25日、「TikTokコンテンツをTwitterインフルエンサーに対価を支払って投稿依頼していた件に関するお詫び」と題し、本件について「誤解を招きかねない対応」があったとして、正式に謝罪しています。

「2019年7月から2021年12月末まで、のべ20名のTwitterインフルエンサーに対価を支払って投稿依頼していた」としており、「#PRなどの広告表記が必要とされる商品やサービスの宣伝をするものではなく、TikTok内のコンテンツをより多くの皆様に知っていただくための活動であったことから、「広告」表記は不要との認識にて実施」していたということです。


<参照>
時事ドットコム:TikTok「ステマ」か 日本法人、報酬払い投稿依頼
ーーインスタ「ステマ」で初の措置命令 バストアップサプリ、効果なし―消費者庁
TikTok:TikTokコンテンツをTwitterインフルエンサーに対価を支払って投稿依頼していた件に関するお詫び