新型コロナウイルスの影響により多くのビジネスが大きな痛手を被っていますが、自由に外出できないという状況が逆に追い風になり、売り上げを伸ばしているビジネスもあります。

特に大きく売り上げを伸ばしているのが配送関連企業で、米アマゾンは2020年1〜3月期に、新型コロナウイルスによる需要の増加を受けて売上高26%増を達成しています。

日本においても新型コロナウイルスの影響下で注目を集めたのが、食事の配送サービス事業を手がけている「Uber Eats(ウーバーイーツ)」です。

そこで本記事ではUber Eatsの仕組みついて解説すると共に、飲食店が実際にUber Eatsに登録する方法について具体的に紹介します。

Uber Eatsとは

Uber Eatsが日本でビジネスを開始したのは2016年からです。その後利用者、配達パートナー、そして飲食店それぞれにメリットがあるサービスとしてビジネスを拡大しています。

まずはUber Eatsの基本的な仕組みについて、詳しく解説します。



Uber Eatsはアプリで注文できるフードデリバリーサービス

Uber Eatsはアメリカ発のビジネスで、運営会社は配車サービスで有名なウーバー・テクノロジーズです。「Uber(ウーバー)」の名で知られる配車サービスは、専用アプリとGPSを活用して「車に乗りたい人」と「運転手」をマッチングさせ、タクシーに代わる移動手段として人気を集めている事業です。

Uber Eatsは、基本的にこの仕組みを応用したものです。ユーザーは今まで自宅では食べられなかった店の料理を楽しめ、店は売り上げの拡大につながり、配達パートナーは空いた時間を利用して働けるため気軽に副業として始められると、それぞれにメリットがあるのが特徴です。

Uber Eatsの仕組み

Uber Eatsでは、ユーザーは専用アプリから料理を注文し、その注文が店に通知され、宅配業者ではなく、注文した店の近辺にいる配達パートナーに通知が届きます。そしてその通知を受けた配達パートナーは店でオーダーされた商品をピックアップし、GPSを活用して料理をユーザーに届ける、これがUber Eatsの基本的な仕組みです。

ユーザーは注文した代金に、配送料等がプラスされた金額を支払います。さらにユーザーは、配達パートナーの対応が気に入った場合にはチップを送ることができるほか、店や料理、配達パートナーに対して評価を投稿できます。

店舗側は、1件の注文に付き、運営会社に手数料の支払いが生じます。

Uber Eatsのメリット・デメリット

次にUber Eatsのメリット、デメリットについて、ユーザー、配達パートナー、飲食店の3者の視点でそれぞれ検証していきます。

  • ユーザー
    ユーザーにとって最大のメリットは、やはりコーヒー1杯からスマホを使って簡単に注文と支払いができ、基本的にはその場で現金のやり取りといった煩わしさもない点が挙げられます。
    一方デメリットには、特に配達パートナーの絶対数が少ない地域では、天候や注文殺到といった理由で配達パートナーが確保できないと配達されるまでに時間がかかったり、最悪の場合には注文ができない場合がある点などがあります。


  • 配達パートナー
    配達パートナーにとってのメリットは、自分の空き時間に好きなタイミングで働ける点や、報酬が週払いである点が挙げられます。
    一方デメリットとしては、収入が安定しない点、そして最近問題になっているのが、個人事業主扱いになるため、配達中に事故が起きた場合などの補償問題が曖昧な点などがあります。


  • 飲食店
    飲食店にとってのメリットは、これまで人員不足でできなかった配達が可能になることで新規顧客の獲得が目指せる点が挙げられます。
    一方デメリットには、手数料の高さや、配達パートナーを確保できない時には注文が受けられないなど、運営が安定しない点が挙げられます。



Uber Eatsの対応エリアと配送手数料

日本での運用を開始してからおよそ4年が経過したUber Eatsですが、残念ながらまだ、日本全国どこでもサービスが利用できるわけではありません。

そこでユーザーにとって気になる、対応エリアと配送手数料の現状についてご紹介します。

対応エリア一覧

2020年9月10日現在のUber Eatsの対応エリアは、以下の通りです。

地域エリア
東京23区(一部エリアを除く)・<全市が対象>武蔵野市・三鷹祭・狛江市ほか11市 <市内一部エリアが対象>日野市、国立市、稲城市ほか7市

埼玉さいたま市・戸田市・川口市ほか13市の一部地域
群馬前橋市・高崎市の一部地域
千葉千葉市、習志野市、浦安市、松戸市、鎌ヶ谷市、柏市、八千代市、四街道市の一部地域

栃木宇都宮市の一部地域
神奈川横浜市、川崎市、横須賀市ほか10市の一部地域
長野長野市の一部地域
新潟新潟市の一部地域



石川金沢市の一部地域
富山富山市の一部地域
静岡静岡市・浜松市の一部地域
愛知名古屋市、北名古屋市、一宮市、春日井市、小牧市、清須市、長久手市、日進市の一部地域

大阪

<全市が対象>大阪市・東大阪市・八尾市ほか10市
<市内一部エリアが対象>堺市・大東市・枚方市ほか5市

京都京都市、日向市、長岡京市、宇治市の一部地域

奈良奈良市、大和郡山市の一部地域
兵庫神戸市、芦屋市、西宮市、尼崎市、伊丹市、姫路市の一部地域
岡山岡山市の中区・北区・南区の一部地域

広島広島市(中区、西区、南区、安佐南区、東区、西区)、福山市の一部地域、



愛媛松山市の一部地域

香川高松市の一部地域

福岡福岡市、久留米市、北九州市の一部地域

鹿児島

鹿児島市の一部地域

宮崎宮崎市の一部地域
熊本熊本市の一部地域
大分大分市の一部地域
沖縄那覇市、浦添市の一部地域

北海道札幌市(中央区、北区、東区、白石区、豊平区、西区)の一部地域

配送手数料

Uber Eatsの配送手数料は、サービス開始当初は一律同一料金でしたが、現在は配送距離や個々のお店によって変わる変動制になっています。具体的な料金は通常260〜570円程度で、注文をする際に店ごとに配送料が表示されています。

そしてユーザーは配送手数料以外にも、配達パートナーによる配送の場合には10%のサービス料が必要(店舗の人員が配送する場合には無料)です。さらに700円未満の少額注文の場合には、150円の手数料も加算して支払う必要があります。

Uber Eats では、2020年8月6日より、月額980円を支払うことで、1,200円を超える注文をした際には配送手数料が0円になる「Eats パス」の提供を開始しました。サブスクリプション(定額)サービスなので、Uber Eatsのヘビーユーザーにとってはお得なシステムとなっています。

飲食店がUber Eatsに登録するには

飲食店のUber Eatsへの登録は、Uber Eatsの公式サイトを通じて行うことができます。およそ3つのステップで登録が完了し、承認されれば数日後には注文を受けられるようになります。

ここでは具体的な登録方法について、詳しく解説します。

まずは必要事項を入力し申請

Uber Eatsに登録するためには、Uber Eatsの公式サイトより店に関する情報を入力し、申請を行います。申請の際に必要な記入事項は、次のようなものがあります。

  • 飲食店名

  • 店舗所在地

  • 申請者の氏名

  • 電話番号

  • メールアドレス

  • 店舗数

  • 料理の種類

  • 店舗のスタッフが注文の品を配達するのか

必要事項を入力して申請を行うと、審査が行われます。この審査に合格し、Uber Eatsから連絡が来ると、無事に登録は完了します。

初期費用はかかる?

Uber Eatsでは、登録費用等の初期費用は基本的に無料です。

ただし、Uber Eats開始にあたって必要な部品の調達などを依頼すると費用が発生します。

利用した際に費用がかかるサービスには、次のようなものがあります。

  • 導入キット

  • 注文受注のためのタブレット

  • レストランパートナーアプリ連動設定

  • プロによるメニューの写真撮影

  • 英語メニュー作成

Uber Eatsに払う手数料はどれくらい?

Uber Eats経由による注文が発生した場合には、注文総額の35%の手数料が発生し、この中にはシステム利用料と配達パートナーに支払う報酬も含まれています。

店舗の飲食とUber Eats経由での注文で同一料金にした場合は、この手数料分、利益が圧縮されることになります。そのためUber Eatsに登録している多くの店舗では、Uber Eatsに掲載するメニューの料金には手数料分を上乗せしており、店舗で飲食した場合と異なる料金設定をしているケースが目立ちます。

エリア拡大中のUber Eats、飲食店の登録前には下調べや利益の見積もりを

新型コロナウィルス対策として発令された緊急事態宣言が解除された後も、行政の要請もあり、社員にテレワークの継続を推奨している企業は少なくありません。さらに外食への不安から、今まで配達サービスをあまり利用しなかった層で、Uber Eatsに代表される配達サービスを利用する人が増加しています。

こうした背景を受け、小規模飲食店においても、デリバリーサービスによる売上確保が重要な課題になってくるはずです。登録前には地域事情や利益の見積もりにつき、必ず十分に検討、分析を行うことが必要ですが、自前で配達用の人員や設備を確保できない小規模飲食店にとっては、初期費用がかからず、注文毎に手数料を払えばそれ以外のランニングコストが発生しないUber Eatsは、ぜひ導入を検討したいサービスの1つです。