新型コロナウイルスの感染拡大やそれに伴う外出自粛の影響を受け、飲食業界は売り上げの減少に見舞われています。その打開策として、テイクアウトを導入する事業者が増加しています。

テイクアウトは感染予防対策としてだけでなく、従来混雑によって来店を断念していて消費者に店舗の利用を動機づける側面もあり、店舗にとっても売り上げ拡大のチャンスとなります。

Google マップなどの主要なウェブサービスでも、テイクアウト対応が表示できるようになっており、集客のための環境も整備されてきています。

この記事では、テイクアウト導入のメリット注意点利用できるサービスについて解説します。

テイクアウト導入が飲食店にもたらすメリット

新型コロナウイルスの感染拡大により飲食店業界全体を通して売り上げが落ち込む中、テイクアウトを導入する事業者が増えています。

売上と新しい生活様式という2つの側面からテイクアウト導入のメリットを解説します。

新たな収入源となる

テイクアウトを導入する最大のメリットは新たな収入源となる点です。

店内飲食のみを取り扱っている飲食店では、座席数や回転数に限りがあり、それにより売り上げの上限が決まってしまいます。

さらに新型コロナウイルスの影響により、顧客の来店機会の減少、ならびにガイドラインの規定により席数を間引きするなど、売り上げに大きな影響を与えています。

一方テイクアウトはその制限がないため、店舗のキャパシティや店内飲食での感染リスクに関係なく売り上げの確保が可能です。

また商品を持ち帰ることで、店舗の存在を知らない人への宣伝効果も期待ができます。

さらに混雑や行列によって嫌厭されていた店舗でも、テイクアウトを導入することで新規顧客の獲得が見込めます。

新型コロナによる新しい生活様式に対応

新型コロナウイルスの感染拡大により消費の形は大きく変わろうとしています。

ことに飲食店においては、スタッフやほかの顧客との接触機会の削減、衛生面の保持といった部分で店舗が対策しなければならないことが増えています。

店舗によっては店内の収容人数を大幅に削減してソーシャルディスタンスの保持に取り組んだり、清掃、消毒にこれまで以上の人員を配置したりという対処をしている店舗も少なくありません。

テイクアウトであればスタッフや他の顧客との接触を最大限削減できます


テイクアウト導入の4つの注意点

飲食店にとって導入のメリットが大きいテイクアウトですが、新たに導入にあたって注意しなければならないこともあります。

以下ではテイクアウト導入に当たっての注意点を4つ紹介します。

容器や包装の選定

1つ目は持ち帰る際の包装の工夫です。

例えば商品が液体状の物である場合、密封できる容器ではなければ持ち帰る最中に液漏れしてしまい顧客の満足度を大きく下げる恐れがあります。密封できる容器を選んだり、容器をさらにラップで包んだりといった工夫が必要です。

また持ち帰り容器のコストも考慮しなければなりません。

ほかにもテイクアウトの商品には、箸やスプーン、おしぼり、個包装された調味料など、店舗での飲食であれば必要なかったものが必要になります。

提供メニューに関しても持ち帰り時間を考慮したメニュー選びが求められます。

テイクアウト販売に必要な資格

テイクアウトで食品を提供する場合、取り扱うメニューにより、異なる資格が必要となります。

まず大前提として飲食物を販売する際には「飲食店営業」の資格が必要です。

さらにソーセージやベーコン、自家製のローストビーフのような加工肉を取り扱う場合には「食肉製品製造業」を持っていなければなりません。

また寿司や海鮮丼のようにお米と一緒であれば問題ありませんが、刺身として提供する場合に「魚介類加工業」の資格の取得が求められます。

ほかにも乳製品や食肉製品を仕入れた状態で販売する際には「食料品販売業」が、焼肉店のように生肉を提供する際には「食肉販売業」「食料品等販売業」といった許可が必要になります。

ケーキの提供には「菓子製造業」の資格が、アイスクリームの提供には「アイスクリーム類製造業」の資格が必要です。

資格に関するトラブルを避けるためにも、事前に管轄する保健所へ相談すると安心です。

食中毒対策の実施

テイクアウトは持ち歩きの時間があるため、店内飲食に比べ食べ始めるまでに時間がかかります。そのため食中毒対策が欠かせません。

一般的に食中毒菌が繁殖しやすいのは20℃から50℃だとされています。持ち帰り用の商品として管理するものは、10℃以下もしくは65℃以上での保管が望ましいでしょう。

保管時には、小分けして速やかに放冷することも効果的です。

持ち帰り時間が長い場合の顧客がいる場合には、上記に加えて保冷剤を添付したり、保冷、保温ボックスによる持ち帰りを推奨したりするといった工夫もできます。

持ち帰り後にすぐに食べてもらえるように、提供する際に口頭で説明する、あるいは商品へシールなどで注意書きをする取り組みも有効です。

食品表示

食品表示は食品表示法という法律で表示が義務付けられています。

食品表示法により、製造、加工した食材を仕入れて提供する場合や、提供場所以外の場所で製造されたものを提供する場合にはその旨を表示しなければなりません

しかし店内で調理したものを提供する場合には賞味期限や原材料といった表示の義務はありません。

ほかにも使い捨ての容器かどうかにより、表示が必要かどうかが分かれます。

このようにテイクアウト商品を提供する際には、食品表示が必要な場合とそうでない場合があるので、事前に確認しておく必要があります。


テイクアウトサービス紹介

テイクアウトに利用できるサービスとして、以下のようなサービスが提供されています。

  • menu

  • LINEポケオ

  • 食べログテイクアウト

  • Picks

  • EPARKテイクアウト

「menu」は顧客が事前注文、事前決済した商品を店舗で受け取れるサービスで、店舗側はタブレット1台で商品の管理ができます

「LINEポケオ」では、LINEアプリ内で注文や決済が完結できます。アプリの利用については、店舗側は毎月の使用料金がかかるものの初期投資をせずに利用できるサービスです。

「食べログテイクアウト」は、飲食店口コミサイトの食べログが提供しているサービスです。食べログのサイトと連携して送客できるため、認知度の向上に大きく期待できます。

「Picks」は、店舗数が10店舗未満であれば初期費用と固定費が無料で利用できるのが最大の魅力です。審査も最短2日で完了するので、個人経営の飲食店向きのサービスといえます。

「EPARKテイクアウト」では、顧客が事前決済と店頭決済を選択できます。大手チェーンも数多く掲載されているため、店舗の認知度を上げることも可能です。


テイクアウトサービスの開始をスムーズにするには

テイクアウトの導入は、店舗の座席数に関係なく商品を販売できる点や新規顧客獲得の可能性など、新たな収入源として期待ができます。

また新型コロナウイルスの影響で新しい生活様式へと移り変わっている中、テイクアウトの導入は飲食店にとって欠かせないものとなってくるでしょう。

一方で資格や商品表示といった法律面に注意しなければなりません。事前に確認しておかなければ、認知度を高めるための導入がかえって評判を下げてしまう可能性もあります。食中毒対策を万全に実施することも重要です。

ブランドイメージによっては、持ち帰り容器を工夫して消費者の食体験が損なわれないようにすることも同じくらい大切です。

デリバリーサービスは現在注目の集まっている領域であり、専用アプリから事前に注文、決済ができるサービスも続々誕生しています。こうしたサービスをうまく利用することで更なる認知度の向上も期待できるでしょう。