長引く外出自粛の影響によって、飲食店の経営にも大きな影響がでていました。感染拡大のピークを乗り越えたとされる現在においては、外食需要は昨年並みにまで回復しているという調査も発表されています。

アフターコロナにおいて自店舗の認知度および集客力を高め、売上向上につなげるためには、グルメサイトを最大限に活用し、オンラインで潜在顧客へアプローチすることが非常に重要です。

本記事では、国内における主要なグルメサイト7選として、「食べログ」「ぐるなび」「Retty(レッティ)」「ホットペッパーグルメ」「ヒトサラ」「一休.com」「Yelp(イェルプ)」について、その特徴と活用方法を解説します。


飲食店がグルメサイトを選ぶとき気を付けたいこと

グルメサイト選定に際しては、活用を検討しているサイトの主なユーザー層が自店舗のターゲット層と合致しているか、掲載店舗数やユーザー数は十分な数字であるか、費用は適切であるかどうかなど、さまざまな観点から検討する必要があります。

自店舗とサイトのユーザー層を確認する

グルメサイトの選定においては、当該サイトのユーザー層と自店舗のターゲット層が合致している必要があります。

年代や性別など、自店舗のターゲット層及び来店動機について適切に把握することで、集客につながりやすいグルメサイトの選定、および効率的な新規顧客獲得が可能になります。

掲載店舗数とユーザー数の多いサイトを選ぶ

グルメサイトはそれぞれ有する特徴が異なっているため、選定時には自店舗とのターゲット層の照らし合わせが重要となりますが、掲載店舗数とユーザー数も考慮すべき要素に数えられます。

掲載店舗数はユーザーとの信頼関係構築にユーザー数は自店舗の認知度向上につながるため、一考を投じる価値は十分にあるといえるでしょう。

料金を比較する

グルメサイトは掲載料が無料の場合も多いものの、有料プランに加入することで検索結果での上位表示ができたり、自店舗が目立つようユーザーへ広告を打つことが可能となるなど、集客機能を強化できる場合があります。

事業の予算と見込める集客、長期的に狙える収益効果を十分に吟味した上で、状況に応じてプラン加入を検討してみることも、持続可能な経営においては重要です。

主要グルメサイト7社を比較

日本にはさまざまなグルメサイトが存在していますが、代表的なものとしては次の7つが挙げられます。

ユーザー層をはじめ、登録店舗数や月間利用者数、月額費用など、サイトごとに特徴は大きく異なるため、自社のビジネスモデルと照らし合わせ、適切なサイトを選定することが重要です。

サイト登録店舗数月間利用者数ユーザー層クーポンの有無費用
食べログ約90万店 (2020年3月)約1億647万人 (2020年3月)年齢性別幅広いあり無料または月額1万円〜
ぐるなび約50万店 (2016年3月)約6,500万人 (2017年12月)30代以上の男性が多いあり無料または月額1万円〜
Retty80万店以上4,000万人以上20~40代男女あり無料または月額1万6,000円〜
ホットペッパーグルメ約76万店 (2019年2月)約4,500万人 (2019年3月)20代女性あり無料(お試しプラン)または 月額3万2,000円〜 (エリアによって変動)
ヒトサラ1万5,000店 (2018年2月)2,000万人以上 (2020年9月)30代以上の女性あり月額1万円〜(別途初期費用あり)
一休.com約8,000件 (2020年9月)一休.com全体では850万人以上富裕層、40代あり成果報酬型
Yelpデータなし世界で1億2,000万人データなしあり無料

1. 食べログ

言わずと知れた国内グルメサイトの代表格である「食べログ」は、2005年にサービスを開始しました。

「価格.com」で知られるカカクコムによって運営され、2020年3月時点での月間利用者数は約1億647万人掲載店舗数は同時点で約90万店となっており、規模・ユーザー数の面で大きな存在感を誇っています。

また、年齢性別をまたぎ幅広いユーザー層に利用されており、中でもスマートフォンからの利用が目立つことは、食べログの特徴の一つであるといえるでしょう。

ネット予約やクーポン発行に加え、5段階評価での口コミ投稿や、Tポイントとの連携も可能となっていることから、掲載にあたっては認知度向上への効果が期待できます。

なお、食べログの有料プラン会員では、24時間予約受付による来店強化や、サイト訪問や予約が集中するゴールデンタイムにおける広告枠の強化、電話対応窓口によるサポートが利用可能となっています。

食べログ:公式サイト

▲食べログ:公式サイト



2. ぐるなび

食べログ同様に大手グルメサイトである「ぐるなび」は、1989年に創業され、業界内では老舗にあたります。

掲載店舗数は約50万店(2016年3月)月間アクティブユーザー数は6,500万人(2017年12月)と食べログには及ばないものの、30代から50代の男性ユーザーが多く、中年層に強いサイトであるといえます。

また、接待や宴会などに適したプランが豊富であり、貯めたぐるなびポイントをドコモや楽天ポイントなどに交換が可能である点から、大人数の集客を見込みたい場合に活用が有効です。

さらに、店舗に合わせてオーダーメイドの集客サポートを受けられる点や、英語・韓国語・中国語での多言語表示に対応している点は、事業者にとって大きな強みといえるでしょう。

有料プランとしては「ビギナー会員プラン」と「販促正会員プラン」の2種類があります。「販促正会員プラン」の場合はユーザーとのマッチング率およびリピート率向上が期待できるメール配信サービスや、ぐるなび特集ページへの掲載が利用可能となります。

ぐるなび:公式サイト

▲ぐるなび:公式サイト

3. Retty(レッティ)

2011年からサービスを開始した比較的新しいサイトでありながら近年着々と存在感を強めている、Facebookと連動型の実名登録制口コミグルメサイトです。

掲載店舗数は80万店以上、月間利用者数は4,000万人以上(2018年11月)と大手の食べログ・ぐるなびに続いて大きなシェアを誇っています。また、Rettyの調査によるとRettyユーザーの23%は週に4〜7回外食をしており、関東や関西、中部地方の都市部を中心に消費意欲の高い20〜40代から利用されている傾向にあります。

口コミは点数評価ではない上に実名で投稿されるため、誹謗中傷などのマイナスな口コミは集まりにくく、良質な口コミをいかに多く獲得できるかどうかが、Rettyを通じて集客を図る鍵といえるでしょう。

また、SNS感覚でユーザー間での相互フォローが可能であるため、嗜好性の高いフォロワーによる新規来店を獲得しやすいというメリットも挙げられます。

なお、有料プランとしては、日付指定検索での一覧表示による予約促進や、ランチ・ディナー共に予約手数料の無料化、トップページの「人気店」への優先表示や広告配信などが利用できるようになります。

Retty:公式サイト

▲Retty:公式サイト

4. ホットペッパーグルメ

リクルートの無料クーポンマガジン「ホットペッパー」のWeb版である「ホットペッパーグルメ」は、充実したネット予約や割引サービスを特徴とするグルメサイトです。

総掲載店舗数は約76万店 (2019年2月)月間利用者数は約4,500万人 (2019年3月時点)とRettyと同程度の規模を誇ります。

貯まったポイントの食事券への適用、豊富なクーポンなどが利用可能である点などから、流行に敏感な20代女性を中心に高い支持を集めています。

47都道府県へのフリーペーパーと連動して集客が見込める点や、24時間ネット予約が受付可能である点に加えて、予約台帳アプリやPOSレジアプリとの連動により予約・会計情報の一元管理が可能である点は、最大限に活用することで効率的な業務運営が実現できるでしょう。

基本の無料お試しプランへ有料オプション「業務サポートパック」を追加することによって、集客機能を強化できる仕組みです。

130種類以上のテンプレートからのホームページ作成や、リピート率向上に役立つメールマガジンの配信、毎月送付される顧客レポートが利用可能である点は、大きな強みとなります。

ホットペッパーグルメ:公式サイト

▲ホットペッパーグルメ:公式サイト


5. ヒトサラ

「料理人の顔が見えるグルメメディア」を称する「ヒトサラ」は、掲載数ナンバーワンを誇る1万2,864人の料理人に主眼を置いたグルメサイトです。

IoTプラットフォーム事業や音楽配信事業を手掛けるUSENグループによって運営されています。サービス開始は2012年と比較的新しいながらも、業界でも著名なフォトグラファーやライター・編集者の起用によってメディアとして高い質を担保しており、月間利用者数は2020年9月時点で2,000万人以上に上ります。

利用ユーザーは女性が多く、中でも30代以上が90%を占め、約半数のユーザーは年収700万円以上の高所得層で構成されている点から、美食傾向の強い落ち着いたアッパーミドル層であることがうかがえます。

飲食店の登録には1万円以上の月額料金が発生しますが、プロのフォトグラファーやライターによるインタビューによって作成される作り手・店舗の紹介ページは非常にクオリティが高く、ユーザーへの訴求効果も期待されます。

食にこだわるアッパーミドル層をターゲットとしている飲食店の場合、登録する価値は十分にあるといえるでしょう。

ヒトサラ:公式サイト

▲ヒトサラ:公式サイト

6. 一休.com


「一休.com」は、高級旅館・ホテルのみを扱うオンライントラベルエージェント(OTA)として知られていますが、その「一休.com」が手掛けるグルメサイト が「一休.comレストラン」です。

「国内最大級の厳選レストラン即時予約サービス」をうたう同サービスは、OTA同じく高級路線に特化しています。

東京を中心とする首都圏や大阪、京都などの関西圏で約8,000件(2020年9月)の高級レストランを掲載しています。ユーザーは富裕層や40代以上のアッパーミドル層が中心です。

掲載にあたっては審査を通過する必要があるものの、固定費ゼロかつ成果報酬型モデルで掲載が可能な点や、専任担当による販促サポートが受けられる点、そして会員数850万人以上を誇る国内大手OTAである「一休.com」からの送客が見込める点は、同グルメサイトを活用する大きなメリットです。

掲載申し込みから掲載開始までは、最短で1ヶ月必要とされています。

一休.com:公式サイト

▲一休.com:公式サイト



7. Yelp(イェルプ)

2004年にアメリカ・サンフランシスコでサービスを開始したYelp(イェルプ)は、2020年8月時点で世界32カ国に展開する、世界最大級の実名口コミ投稿サイトです。

日本でサイトが開設した2014年時点での月間利用者数は世界で1億2,000万人に上っており、その規模の大きさがうかがえる数字となっています。

掲載されている情報はレストランだけでなく美容室や病院など多岐に渡っている点や、独自のアルゴリズムによって投稿される実名レビューの信憑性を「オススメできるレビュー」と「そうでないレビュー」に振り分けて掲載している点は、同サイトの特徴の一つです。

信頼性の高いレビューによる店舗の認知度向上や、新規顧客の来訪ハードルを下げる効果が期待されるほか、インバウンド集客も見込めるため、今後に向けて顧客層の拡大を狙う事業者は、導入を検討する余地は十分にあるといえるでしょう。

Yelp:公式サイト

▲Yelp:公式サイト


自店舗のターゲット層に合ったグルメサイトの選定を

新型コロナウイルスの感染拡大により厳しい立場に立たされていた飲食事業者ですが、東京都では飲食店などを対象に要請していた営業時間短縮を9月16日付で解除しています。

Go To Eatキャンペーンも10月1日から開始しました。

Go To Travelキャンペーンで除外とされてきた東京発着の旅行についても、10月1日の旅行から対象となるなど、経済活動の完全回復を目指した動きが活発になってきています。

これを受け、消費者の外食に対するニーズも呼応する形で高まってきていることは、ローカル検索をはじめとした検索量の増加にも顕著に表れています。

飲食事業者は自店舗のターゲット層を今一度見極めた上で適切なグルメサイトを選定し、自店舗の認知度向上へ早期に努めることが、需要の高まりに乗り遅れないためにも重要であるといえるでしょう。